フジトモ島の冒険Adventures on Fujitomo Island

🌟第52話「家族がひとつになる場所へ〜LDK大改造・前編〜」

朝の海は、まだ少し冷たい風を運んでいた。

フジトモ号の白い帆がふわりと膨らみ、波の上に光を落とす。

ともりゅうが、ゆっくりと空を見上げた。

「今日の風は穏やかじゃ。第二創業期にふさわしい朝じゃな。」

ともねこが耳をぴくりと動かした。

「新しい旅のはじまりって、なんだか心がポカポカするニャ。」

ともいぬが勢いよく飛び跳ねる。

「オレ、今日も現場で笑顔ふりまくワン!全力でいくワン!」

カトーは、三匹の声を聞きながら笑った。

その笑顔は、いつもより少し深い。

「今日の現場は、家族の声が届く家づくりだ。フジトモ号、出航!」

🧭出発 ― 八龍たちの集結

デッキには、フジトモの仲間たちが勢ぞろいしていた。

朝日が差し込む中、彼らの目は希望で光っていた。

守龍:「今日も安全第一。古い木造住宅だ。足元に気をつけよう。」

剛龍:「了解!福祉用具も点検済み!心も体も支える現場だ!」

舞龍:「お客様の“こうなったらいいな”を叶えるのが私たちの仕事ね!」

翔華龍:「光と風が通うLDK…想像するだけでワクワクする。」

橋龍:「現場の写真は私が撮ります。伝わる“ありがとう”を残したい。」

安龍:「忘れ物なし、チェック完了。いつものように整ってます。」

澄龍:「データも図面も準備OK。数字も波動も整ってます。」

創龍:「僕、今日は実践初日です!全力で吸収します!」

みんなの声が、波と一緒に心地よく響いた。

カトーは静かに頷いた。

「ありがとう。今日からまた、“ありがとうが集まる会社”として動き出そう。」

🏠現場 ― 一軒の家と、ひとつの願い

その家は、築35年の木造住宅だった。

外壁にはうっすらと年月の跡。

けれど玄関前には、きれいに咲いた小さな花が並んでいた。

出迎えたのは三人家族。

お母さん、お父さん、そして小学5年生の娘さん。

お母さん:「家族と話したくても、台所にこもると声が届かないの。

せめて、みんなの顔が見えるようにしたくて。」

お父さんは頭をかきながら笑った。

「俺もね、居間でテレビ見ながら“ごはんまだー?”って叫ぶしかないんだよな。」

娘さんが小さな声でつぶやいた。

「ママの顔、見えないのイヤ…」

その言葉に、場の空気がそっと止まった。

ともねこが静かに近づき、優しく言った。

「きっとその気持ちが、この家を変えるニャ。」

ともりゅうがゆっくりと頷いた。

「では、“声の届く家”をつくるとしよう。」

🔧 設計会議 ― 光と風の通り道

舞龍:「壁を抜くだけじゃダメね。空気と人の流れをつなぐ設計にしましょう。」

翔華龍:「アイランドキッチンにして、どこからでも顔を合わせられるように。」

安龍:「段差をなくして、床下に新しい断熱材を入れます。」

守龍:「梁(はり)は古いが、まだ生きてる。補強して再利用できるぞ。」

剛龍:「冬でも裸足で歩ける床にしよう。家全体が温かくなる!」

橋龍:「その言葉、すてきですね。現場の空気を撮って伝えたいです。」

澄龍:「見積もりも整いました。数字の面も問題ありません。」

創龍:「僕、この設計…すごく好きです!」

ともいぬ:「オレもなんかワクワクするワン!広くなったら鬼ごっこできそうワン!」

ともねこ:「走る前に床、乾かしてニャ。」

笑いがこぼれ、現場に柔らかな風が流れた。

🛠工事スタート ― 光が差し込む瞬間

古い壁が取り払われるたび、

まるで家が深呼吸をするように、光と風が部屋の中に流れ込んだ。

白いほこりが光を反射して、金色の粒のように舞う。

その光景を見て、お母さんの目が少し潤んだ。

お母さん:「明るい……まるで違う家みたい。」

翔華龍:「光ってね、心の天気を変えるんですよ。」

ともねこ:「人の心も、壁をなくすと明るくなるニャ。」

ともいぬ:「今日の現場、めっちゃ波動あがってるワン!!」

カトーは少し離れた場所で、ゆっくりとつぶやいた。

「間取りを変えることは、暮らしを変えること。

“安心して笑える家”をつくる、それがフジトモの仕事だ。」

ともりゅうが静かに答えた。

「理念の“ありがとうが集まる会社”、まさにこの風の中にあるのう。」

🌇夕暮れ ― 家族の影がひとつになる

夕日が差し込み、

床にのびる光が家族の影をひとつに結んだ。

お父さんが娘を抱き上げる。

「なんか、あったかいな。」

お母さんが笑う。

「うん。風がやさしい。」

橋龍がシャッターを切った。

「この瞬間…きっと、誰かの希望になる。」

カトーはその場を見守りながら、

静かに言葉を残した。

「ありがとうの光を、家ごとに灯していく。

それが、フジトモ第二創業期のはじまりだ。」

ともりゅう:「次はいよいよ仕上げじゃな。」

ともねこ:「お楽しみにニャ。」

ともいぬ:「完成したら、みんなでごはんワン!」

──つづく。

【次回予告】

第53話「家族の声が届くキッチン〜LDK大改造・後編〜」

料理の音が笑顔を呼ぶ。

完成したキッチンで、家族が流した“ありがとう”の涙とは——。

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