
朝の光が、リフォームを終えた家の窓からやわらかく差しこんでいた。
木の香りがほんのり漂い、新しい床がきらりと光を跳ね返す。
カトーと八龍、そしてともりゅうたちが現場に集まった。
昨日までの工事の喧騒が嘘のように、静かな空気が流れている。
🏡 家族の新しい空間
お母さんがゆっくりとリビングへ足を踏み入れた。
「……うそみたい。こんなに広くて明るいなんて。」
お父さんが笑いながら天井を見上げる。
「俺の声、今ならちゃんと届くぞ〜!」
その声に娘さんが笑いながら走ってきた。
「ほんとだ!ママの顔も、パパの声も、ぜんぶ届く!」
舞龍がその光景を見てにっこり笑った。
「リフォームって、ただ家を直すんじゃない。家族を近づける仕事なのね。」
翔華龍がそっと頷く。
「台所と居間をつなげるって、“会話をつなぐ”ことだったのね。」
ともねこ:「お母さんの笑顔、もう前より明るいニャ。」
ともいぬ:「オレ、あの壁壊したときのこと思い出したワン! いい風、入ってきたワン!」
🔧 職人たちの誇り
守龍は床の端に膝をつき、木のつなぎ目を指でなぞる。
「うん、完璧だ。ここなら安心して走り回れる。」
剛龍がにっこり笑って工具を片付ける。
「段差ゼロ。家の中を歩くたびに“安全”が感じられるはずだ。」
安龍は作業台の上で手帳を閉じた。
「今日のチェックリスト、全部“ありがとう”で埋まりましたね。」
澄龍:「数字だけじゃなく、空気まで整ってる。これが“良い現場”ですね。」
創龍:「ぼく、今日、初めて“現場の温度”がわかった気がします!」
橋龍はカメラを構えて、小さな声でつぶやいた。
「この瞬間……未来に残したい。」
💡 キッチンの中心で
お母さんは新しいキッチンの前に立ち、
ピカピカのアイランドカウンターに手を置いた。
その手が、少し震えている。
「毎日が大変だったんです。
古いキッチンは狭くて暗くて、冬は寒くて……
でも今日からは、この場所が“家族の真ん中”なんですね。」
お父さん:「そうだな。ここから“ごはんできたよー!”って言えるんだな。」
娘さん:「うん!あたしもお手伝いする!」
ともりゅう:「声が届くとは、心が届くということじゃ。」
カトー:「そうだね。リフォームの本当の目的は、安心して笑える時間を増やすこと。」
ともねこ:「人の心は、明るい場所でどんどん育つニャ。」
ともいぬ:「よーし、オレも料理手伝うワン!」
(※その後、床にこぼした小麦粉で滑って転ぶ)
舞龍:「もう〜!でも、その笑顔がいちばんの調味料よね。」
🌅 エピローグ ― “ありがとう”が集まる家
夕暮れ。
キッチンの照明がぽっと灯り、家族の笑い声が部屋に響いた。
橋龍が撮った写真の中では、
お母さんが娘さんと並んで料理をし、
お父さんが食器を並べている。
その背中に、やわらかな光が重なっていた。
カトーは現場を振り返り、静かに言葉をのせた。
「家を直すだけじゃない。
人の心がもう一度あたたかくなる場所をつくる。
それが、フジトモの仕事だ。」
ともりゅう:「理念の“ありがとうが集まる会社”、確かに息づいておるのう。」
ともねこ:「今日もひとつ、“安心”が生まれたニャ。」
ともいぬ:「オレ、なんだか胸がポカポカするワン!」
海辺の風がそっと吹いた。
家の中から聞こえる笑い声が、夕焼けの空へと広がっていく。
──それは、第二創業期のフジトモ号が、
新しい“ありがとう”の波を起こした瞬間だった。
──完。
【次回予告】
第54話「坂の上の手すり物語〜安心への小さな一歩〜」
介護リフォーム編、開幕。
“自分で歩きたい”という願いを叶えるため、ともりゅうたちが動き出す!