フジトモ島の冒険Adventures on Fujitomo Island

🌟第53話「家族の声が届くキッチン〜LDK大改造・後編〜」

朝の光が、リフォームを終えた家の窓からやわらかく差しこんでいた。

木の香りがほんのり漂い、新しい床がきらりと光を跳ね返す。

カトーと八龍、そしてともりゅうたちが現場に集まった。

昨日までの工事の喧騒が嘘のように、静かな空気が流れている。

🏡 家族の新しい空間

お母さんがゆっくりとリビングへ足を踏み入れた。

「……うそみたい。こんなに広くて明るいなんて。」

お父さんが笑いながら天井を見上げる。

「俺の声、今ならちゃんと届くぞ〜!」

その声に娘さんが笑いながら走ってきた。

「ほんとだ!ママの顔も、パパの声も、ぜんぶ届く!」

舞龍がその光景を見てにっこり笑った。

「リフォームって、ただ家を直すんじゃない。家族を近づける仕事なのね。」

翔華龍がそっと頷く。

「台所と居間をつなげるって、“会話をつなぐ”ことだったのね。」

ともねこ:「お母さんの笑顔、もう前より明るいニャ。」

ともいぬ:「オレ、あの壁壊したときのこと思い出したワン! いい風、入ってきたワン!」

🔧 職人たちの誇り

守龍は床の端に膝をつき、木のつなぎ目を指でなぞる。

「うん、完璧だ。ここなら安心して走り回れる。」

剛龍がにっこり笑って工具を片付ける。

「段差ゼロ。家の中を歩くたびに“安全”が感じられるはずだ。」

安龍は作業台の上で手帳を閉じた。

「今日のチェックリスト、全部“ありがとう”で埋まりましたね。」

澄龍:「数字だけじゃなく、空気まで整ってる。これが“良い現場”ですね。」

創龍:「ぼく、今日、初めて“現場の温度”がわかった気がします!」

橋龍はカメラを構えて、小さな声でつぶやいた。

「この瞬間……未来に残したい。」

💡 キッチンの中心で

お母さんは新しいキッチンの前に立ち、

ピカピカのアイランドカウンターに手を置いた。

その手が、少し震えている。

「毎日が大変だったんです。

古いキッチンは狭くて暗くて、冬は寒くて……

でも今日からは、この場所が“家族の真ん中”なんですね。」

お父さん:「そうだな。ここから“ごはんできたよー!”って言えるんだな。」

娘さん:「うん!あたしもお手伝いする!」

ともりゅう:「声が届くとは、心が届くということじゃ。」

カトー:「そうだね。リフォームの本当の目的は、安心して笑える時間を増やすこと。」

ともねこ:「人の心は、明るい場所でどんどん育つニャ。」

ともいぬ:「よーし、オレも料理手伝うワン!」

(※その後、床にこぼした小麦粉で滑って転ぶ)

舞龍:「もう〜!でも、その笑顔がいちばんの調味料よね。」

🌅 エピローグ ― “ありがとう”が集まる家

夕暮れ。

キッチンの照明がぽっと灯り、家族の笑い声が部屋に響いた。

橋龍が撮った写真の中では、

お母さんが娘さんと並んで料理をし、

お父さんが食器を並べている。

その背中に、やわらかな光が重なっていた。

カトーは現場を振り返り、静かに言葉をのせた。

「家を直すだけじゃない。

人の心がもう一度あたたかくなる場所をつくる。

それが、フジトモの仕事だ。」

ともりゅう:「理念の“ありがとうが集まる会社”、確かに息づいておるのう。」

ともねこ:「今日もひとつ、“安心”が生まれたニャ。」

ともいぬ:「オレ、なんだか胸がポカポカするワン!」

海辺の風がそっと吹いた。

家の中から聞こえる笑い声が、夕焼けの空へと広がっていく。

──それは、第二創業期のフジトモ号が、

新しい“ありがとう”の波を起こした瞬間だった。

──完。

【次回予告】

第54話「坂の上の手すり物語〜安心への小さな一歩〜」

介護リフォーム編、開幕。

“自分で歩きたい”という願いを叶えるため、ともりゅうたちが動き出す!

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