フジトモ島の冒険Adventures on Fujitomo Island

🌟第55話「見守りベッドと夜の安心〜家族をつなぐ灯り〜」

登場メンバー

  • カトー:フジトモ号の船長。みんなを導くリーダー。
  • ともりゅう:知恵の龍。静かに真実を語る。
  • ともねこ:癒しの猫!人の気持ちに寄り添い、あたたかな言葉を届ける。
  • ともいぬ:元気な犬!いつも笑顔でみんなを励ます。
  • 舞龍:明るく前向きな営業。人の感情に寄り添う聞き上手。
  • 創龍:見習いスタッフ。ケアマネ資格持ち。成長真っただ中。

夜の空気には、昼とは違う静けさがある。

その静けさの中に――「不安」が隠れていることがある。

カトーたちは、月の光に照らされた一軒の家を訪れていた。

玄関を開けた瞬間、優しいお母さんが迎えてくれた。

「最近、夜になるとね……

おばあちゃんがベッドから起き上がろうとして転びそうになるの。」

舞龍が深くうなずく。

「心配になりますよね。毎晩、気を張ってしまいますよね。」

お母さんの目が少し赤くなった。

「そうなの。離れて暮らしている息子にも心配かけたくなくて。」

ともねこがそっと寄り添うように言った。

「大丈夫ニャ。心の重さ、半分こしようニャ。」

ともいぬは胸を張って言う。

「オレたちが来たからには、安心の夜をつくるワン!」

◆ 問題の中心は “夜の立ち上がり”

創龍はおばあちゃんの部屋へ行き、状況を丁寧に確認した。

「床はフローリング……滑りやすいですね。」

「照明は離れた場所にあるから、スイッチを押すまで暗い。」

「ベッドの高さもちょっと高いです。」

おばあちゃんは申し訳なさそうに笑う。

「迷惑かけちゃ悪いと思ってね、つい自分で動こうとしちゃうのよ。」

ともりゅうが静かに語った。

「“迷惑をかけたくない”という想いが、ゆえに危険を招く……

人の心とは、なんと優しく、そして繊細なものかのう。」

◆ 舞龍の提案(やさしさの設計)

舞龍が柔らかい声で言う。

「おばあちゃん、自分で起き上がりたい気持ちはとっても大事です。

だから――“自分で起きても安全な環境”を作りましょう。」

提案内容は、こうだった。

高さ調整ができる介護ベッド ベッド脇の転落防止ガード 足元に明るいセンサーライト 床の滑り止めマット ベッド周りの“つかまり動作”を考えた手すり

創龍が付け加えた。

「これなら、おばあちゃんの“自分でできる”を守れます。」

お母さんの表情が少しゆるむ。

「そんな方法が……もっと早く相談すればよかった。」

ともねこ:「相談するって、勇気がいるニャ。でも大丈夫ニャ。」

ともいぬ:「今から安心の夜つくるワン!」

◆ 設置作業と、やさしい灯り

工事というほど大がかりではない。

だが、**“心の不安を減らす”**という意味では、とても大切な作業だった。

新しいベッドが静かに設置され、

照明がふっと優しく灯る。

おばあちゃんがゆっくりと腰掛ける。

「……あら、座りやすいわね。」

「高さも丁度いいし、明るい。」

「これなら、夜中に起きても安心だわ。」

その言葉に、お母さんの目がまた潤む。

「これで……少し、眠れるかもしれない。」

カトーは優しく言った。

「介護って、“想い”が深いぶん、不安も深い。

でもこうして、一つずつ安心を積み重ねていけばいいんです。」

ともりゅう:「夜は静けさの中に、ほんの小さな光があればよい。」

ともねこ:「今日の灯りは、安心の色だニャ。」

ともいぬ:「オレ、安心したら眠くなってきたワン……」

(※思いきりあくびして、みんなが笑う)

◆ そして夜が優しくなる

家を出ると、空には丸い月。

風は静かに、坂の下へ流れていく。

お母さんが深く頭を下げた。

「ほんとうに、ありがとうございます。

今日からは、夜が怖くなくなります。」

舞龍が手を振り返す。

「不安なときは、いつでも言ってくださいね。」

創龍が胸を張る。

「ぼくも、もっと安心をつくれるように頑張ります!」

ともりゅう:「今日もまた、“ありがとう”が灯ったのう。」

ともねこ:「やさしい夜、始まるニャ。」

ともいぬ:「帰ったらカトーと夜食タイムだワン!」

月の光が、家族の安心をそっと照らしていた。

──つづく。

【次回予告】

第56話「玄関の小さな段差が運命を変える日」

たった3センチの段差が、転倒を生むこともあれば、

“幸せへの一歩”に変わることもある。

フジトモ号が挑む、玄関リフォームの物語。

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