- カトー:フジトモ号の船長。暮らし全体を見渡す導き手。
- ともりゅう:知恵の龍。時間と流れの本質を語る。
- ともねこ:癒しの猫。朝の小さな違和感に気づく。
- 舞龍:前向きなプランナー。生活者目線の提案役。
- 澄龍:冷静な総務。数字と現実を整える。
朝は、一日の入口だ。
だからこそ、その入口がつらいと、
一日ぜんぶが重くなる。
洗面所のドアを開けた瞬間、
冷たい空気が顔に当たる。
「……今日も寒いね。」
小さな声が、白い息と一緒に消えた。
ともねこが肩をすくめる。
「朝いちばんの“ひやっ”は、心まで冷えるニャ。」
◆ 相談は、何気ない一言から
今回の家は、ご夫婦二人暮らし。
奥さんが、少し照れながら話してくれた。
「洗面所が寒くてね。
顔を洗うのが、ちょっと億劫なの。」
舞龍がうなずく。
「それ、すごく大事なサインです。
“毎日の小さな我慢”って、積もるんですよ。」
ご主人が苦笑いする。
「確かに。朝から“気合い”が必要なんだよな。」
ともりゅうが静かに言う。
「朝は、無理をする時間ではない。
整える時間じゃ。」
◆ 洗面所は「準備の場所」
カトーは洗面所を見回した。
・床が冷たい
・窓から冷気が入る
・照明が白くて硬い
・脱衣所との温度差が大きい
「ここは、
“外に出るための準備”と
“自分を整える場所”の両方です。」
澄龍がメモを見ながら補足する。
「大がかりな工事じゃなくても、改善できます。」
舞龍が提案する。
・床に断熱マット
・洗面台下の冷気対策
・暖色系の照明
・小型の壁付けヒーター
「“寒くない”だけで、朝は変わります。」
ともねこ:「朝がやさしいと、一日もやさしくなるニャ。」
◆ 変わったのは、空気だけじゃない
数日後。
洗面所に入った奥さんが、ふっと笑った。
「……あ、寒くない。」
顔を洗う手が、止まらない。
鏡の前で、自然と背筋が伸びる。
「なんかね、
ちゃんと“今日”が始まる感じがするの。」
ご主人が後ろから言う。
「朝の機嫌、よくなったよね。」
二人で、少し照れたように笑う。
ともりゅう:「一日の入口が整えば、
流れは自然とよくなる。」
ともねこ:「今日は、いい朝ニャ。」
◆ クリスマスイブの朝
外では、淡い光が差していた。
クリスマスイブの朝。
特別なことはない。
でも――
洗面所が寒くない。
朝が、つらくない。
一日を迎える心が、少し軽い。
カトーは静かに言った。
「暮らしを変えるって、
特別なイベントじゃなくて、
毎日の“当たり前”を整えることなんです。」
舞龍が微笑む。
「その積み重ねが、
いい一年をつくるんですね。」
澄龍がうなずく。
「数字じゃ測れない価値ですね。」
ともねこ:「今日は、心まであったかいニャ。」
窓の外で、風がやさしく揺れた。
それはまるで、
これから始まる一年を祝福するみたいだった。
──つづく。
【次回予告】
第60話
「ただいまが増える家〜リビングに灯る帰り道〜」
人は、帰る場所が心地いいと、
自然と“ただいま”が増えていく。



