フジトモ島の冒険Adventures on Fujitomo Island

🌟第60話「ただいまが増える家〜リビングに灯る帰り道〜」

  • カトー:フジトモ号の船長。帰る場所の意味を見つめる導き手。
  • ともりゅう:知恵の龍。人が戻る理由を静かに語る。
  • ともねこ:癒しの猫。空気の変化にいち早く気づく。
  • 舞龍:前向きなプランナー。家族の声を引き出す。
  • 守龍:工務担当。現場で“安心の形”をつくる。

夕方五時。
冬の空は、もう夜の色だった。

玄関の前で、コートのポケットに手を入れたまま、
一人の男性が立ち止まる。

「……今日も、遅くなったな。」

仕事は忙しい。
家に帰るのは、いつも最後。
リビングの電気はついているけど、
どこか“入るタイミング”を迷ってしまう。

ともねこが、小さく首をかしげた。
「“帰りたいのに、帰りにくい家”ってあるニャ。」

◆ 相談は「リビングが寒い」から

奥さんが話してくれた。

「リビングが寒くてね。
主人、コートを脱がないんです。」

舞龍がうなずく。
「それ、よくあるサインです。」

守龍が室内を見回す。
・窓が大きい
・足元が冷える
・照明が暗く、影が多い

「“居心地”が、途中で止まってますね。」

ともりゅうが言う。
「人は、安心を感じた場所までしか戻らぬ。」

◆ フジトモの提案は「迎えるリビング」

大きな工事はしない。

・足元にあたたかい床材
・窓まわりの断熱
・照明を“迎える位置”に配置
・ソファの向きを少し変える

舞龍が言った。
「“どう過ごすか”より、
“どう迎えるか”を整えましょう。」

ともねこ:「帰ってきた瞬間の空気、大事ニャ。」

◆ クリスマスの夜

その日、男性は少し早く帰ってきた。

玄関を開けると、
足元が、冷たくない。

リビングの灯りが、
奥からやさしく広がっている。

「……あれ?」

コートを脱ぎ、
そのままソファに腰を下ろす。

奥さんがキッチンから顔を出した。
「おかえり。」

その一言が、
いつもより近く聞こえた。

ともりゅう:「“ただいま”とは、
心が戻る言葉じゃ。」

ともねこ:「今日は、帰り道があったかいニャ。」

◆ 余韻

窓の外では、
小さなイルミネーションが揺れていた。

派手じゃない。
でも、確かにあたたかい。

カトーは静かに言った。

「家は、
人を休ませる場所であり、
また外へ送り出す場所でもあります。」

「“ただいま”が増える家は、
きっと、いい一年をつくります。」

クリスマスの夜。
リビングには、
ちゃんと“帰る場所”があった。

──つづく。

🎄次回予告

第61話

「一年を見送る家〜ありがとうは、静かに残る〜」

大晦日。
掃除をしながら、人は一年を振り返る。
フジトモ号が描く、
“終わりを大切にする家”の物語。

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