- カトー:フジトモ号の船長。帰る場所の意味を見つめる導き手。
- ともりゅう:知恵の龍。人が戻る理由を静かに語る。
- ともねこ:癒しの猫。空気の変化にいち早く気づく。
- 舞龍:前向きなプランナー。家族の声を引き出す。
- 守龍:工務担当。現場で“安心の形”をつくる。
夕方五時。
冬の空は、もう夜の色だった。
玄関の前で、コートのポケットに手を入れたまま、
一人の男性が立ち止まる。
「……今日も、遅くなったな。」
仕事は忙しい。
家に帰るのは、いつも最後。
リビングの電気はついているけど、
どこか“入るタイミング”を迷ってしまう。
ともねこが、小さく首をかしげた。
「“帰りたいのに、帰りにくい家”ってあるニャ。」
◆ 相談は「リビングが寒い」から
奥さんが話してくれた。
「リビングが寒くてね。
主人、コートを脱がないんです。」
舞龍がうなずく。
「それ、よくあるサインです。」
守龍が室内を見回す。
・窓が大きい
・足元が冷える
・照明が暗く、影が多い
「“居心地”が、途中で止まってますね。」
ともりゅうが言う。
「人は、安心を感じた場所までしか戻らぬ。」
◆ フジトモの提案は「迎えるリビング」
大きな工事はしない。
・足元にあたたかい床材
・窓まわりの断熱
・照明を“迎える位置”に配置
・ソファの向きを少し変える
舞龍が言った。
「“どう過ごすか”より、
“どう迎えるか”を整えましょう。」
ともねこ:「帰ってきた瞬間の空気、大事ニャ。」
◆ クリスマスの夜
その日、男性は少し早く帰ってきた。
玄関を開けると、
足元が、冷たくない。
リビングの灯りが、
奥からやさしく広がっている。
「……あれ?」
コートを脱ぎ、
そのままソファに腰を下ろす。
奥さんがキッチンから顔を出した。
「おかえり。」
その一言が、
いつもより近く聞こえた。
ともりゅう:「“ただいま”とは、
心が戻る言葉じゃ。」
ともねこ:「今日は、帰り道があったかいニャ。」
◆ 余韻
窓の外では、
小さなイルミネーションが揺れていた。
派手じゃない。
でも、確かにあたたかい。
カトーは静かに言った。
「家は、
人を休ませる場所であり、
また外へ送り出す場所でもあります。」
「“ただいま”が増える家は、
きっと、いい一年をつくります。」
クリスマスの夜。
リビングには、
ちゃんと“帰る場所”があった。
──つづく。
🎄次回予告
第61話
「一年を見送る家〜ありがとうは、静かに残る〜」
大晦日。
掃除をしながら、人は一年を振り返る。
フジトモ号が描く、
“終わりを大切にする家”の物語。



