- カトー:フジトモ号の船長。一年の流れを静かに見つめる導き手。
- ともりゅう:知恵の龍。終わりと始まりの意味を語る。
- ともねこ:癒しの猫。片づけの中にある感情を受け止める。
- 安龍:総務リーダー。整えることの価値を知る人。
- 澄龍:総務。静かに現実と数字を締める存在。
大晦日の朝は、
音が少ない。
車の通りも、
人の声も、
どこか控えめだ。
「今年も、今日で終わりか。」
カトーは、事務所の窓から外を眺めていた。
ともねこが足元で丸くなる。
「年の終わりって、ちょっとさみしいニャ。」
ともりゅうが静かに答える。
「さみしさがあるから、
人は一年を大切にできるのじゃ。」
◆ 相談は「片づけたい」だった
今回の訪問先は、
大きな工事ではない。
「年内に、家を一度きれいにしたくて。」
そう話したのは、
長く同じ家に住んでいるご夫婦だった。
「物が増えてね。
使ってないのに、捨てられなくて。」
安龍がうなずく。
「“まだ使える”と“今使っている”は、違いますからね。」
澄龍がそっと補足する。
「家も、人と同じで、
溜めすぎると動きにくくなります。」
◆ フジトモの年末仕事
やることはシンプル。
・動線をふさぐ家具を一度外す
・使っていない棚を減らす
・掃除しやすい配置に変える
・必要な場所に、必要な収納だけ残す
大がかりな改修はしない。
でも、家の呼吸が変わっていく。
ともねこが棚の奥をのぞき込む。
「これ、十年以上使ってないニャ。」
奥さんが少し笑った。
「……そうね。でも、思い出があって。」
ともりゅうが静かに言う。
「思い出は、物ではなく、心に残せばよい。」
◆ 片づけの途中で出てくるもの
古い写真。
使い込まれた道具。
今はもう使わないけれど、
確かに“役目を果たしたもの”。
ご主人がつぶやく。
「よく頑張ってくれたな。」
その言葉に、
部屋の空気が少し柔らぐ。
カトーは言った。
「“捨てる”じゃなくて、
“ありがとうを言って手放す”。
それが、年末の片づけです。」
ともねこ:「ちゃんと見送ると、心が軽くなるニャ。」
◆ 家が静かに整う
夕方。
窓から差し込む光が、床に長く伸びる。
家具が減り、
空間に余白が生まれた。
「……広くなったね。」
奥さんの声は、
どこかほっとしていた。
安龍が言う。
「余白は、安心のスペースです。」
澄龍がうなずく。
「来年の暮らしが、ここに入ってきますね。」
◆ 年の終わりに残るもの
帰り際、
ご夫婦が深く頭を下げた。
「今年も、いろいろありました。
でも、ちゃんと終われそうです。」
カトーは静かに答える。
「終わりを丁寧に迎えられる家は、
きっと、いい始まりを迎えられます。」
ともりゅう:「一年を見送るとは、
感謝を静かに残すことじゃ。」
ともねこ:「今日は、家も心も落ち着いたニャ。」
外では、
遠くで除夜の鐘が鳴り始めていた。
家の中には、
騒がしさはない。
でも――
ちゃんと、あたたかい。
──つづく。
🎍次回予告(2026年1月1日公開)
第62話
「朝日を迎える家〜ここから始まる2026〜」
元旦の朝。
静かな家に差し込む、最初の光。
第二創業期、正式スタートの物語。



