フジトモ島の冒険Adventures on Fujitomo Island

🌟第61話 「一年を見送る家〜ありがとうは、静かに残る〜」

  • カトー:フジトモ号の船長。一年の流れを静かに見つめる導き手。
  • ともりゅう:知恵の龍。終わりと始まりの意味を語る。
  • ともねこ:癒しの猫。片づけの中にある感情を受け止める。
  • 安龍:総務リーダー。整えることの価値を知る人。
  • 澄龍:総務。静かに現実と数字を締める存在。

大晦日の朝は、
音が少ない。

車の通りも、
人の声も、
どこか控えめだ。

「今年も、今日で終わりか。」

カトーは、事務所の窓から外を眺めていた。

ともねこが足元で丸くなる。
「年の終わりって、ちょっとさみしいニャ。」

ともりゅうが静かに答える。
「さみしさがあるから、
人は一年を大切にできるのじゃ。」

◆ 相談は「片づけたい」だった

今回の訪問先は、
大きな工事ではない。

「年内に、家を一度きれいにしたくて。」

そう話したのは、
長く同じ家に住んでいるご夫婦だった。

「物が増えてね。
使ってないのに、捨てられなくて。」

安龍がうなずく。
「“まだ使える”と“今使っている”は、違いますからね。」

澄龍がそっと補足する。
「家も、人と同じで、
溜めすぎると動きにくくなります。」

◆ フジトモの年末仕事

やることはシンプル。

・動線をふさぐ家具を一度外す
・使っていない棚を減らす
・掃除しやすい配置に変える
・必要な場所に、必要な収納だけ残す

大がかりな改修はしない。
でも、家の呼吸が変わっていく。

ともねこが棚の奥をのぞき込む。
「これ、十年以上使ってないニャ。」

奥さんが少し笑った。
「……そうね。でも、思い出があって。」

ともりゅうが静かに言う。
「思い出は、物ではなく、心に残せばよい。」

◆ 片づけの途中で出てくるもの

古い写真。
使い込まれた道具。
今はもう使わないけれど、
確かに“役目を果たしたもの”。

ご主人がつぶやく。
「よく頑張ってくれたな。」

その言葉に、
部屋の空気が少し柔らぐ。

カトーは言った。
「“捨てる”じゃなくて、
“ありがとうを言って手放す”。
それが、年末の片づけです。」

ともねこ:「ちゃんと見送ると、心が軽くなるニャ。」

◆ 家が静かに整う

夕方。
窓から差し込む光が、床に長く伸びる。

家具が減り、
空間に余白が生まれた。

「……広くなったね。」

奥さんの声は、
どこかほっとしていた。

安龍が言う。
「余白は、安心のスペースです。」

澄龍がうなずく。
「来年の暮らしが、ここに入ってきますね。」

◆ 年の終わりに残るもの

帰り際、
ご夫婦が深く頭を下げた。

「今年も、いろいろありました。
でも、ちゃんと終われそうです。」

カトーは静かに答える。
「終わりを丁寧に迎えられる家は、
きっと、いい始まりを迎えられます。」

ともりゅう:「一年を見送るとは、
感謝を静かに残すことじゃ。」

ともねこ:「今日は、家も心も落ち着いたニャ。」

外では、
遠くで除夜の鐘が鳴り始めていた。

家の中には、
騒がしさはない。

でも――
ちゃんと、あたたかい。

──つづく。

🎍次回予告(2026年1月1日公開)

第62話

「朝日を迎える家〜ここから始まる2026〜」

元旦の朝。
静かな家に差し込む、最初の光。
第二創業期、正式スタートの物語。

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