- カトー:フジトモ号の船長。新しい年の始まりを見据える導き手。
- ともりゅう:知恵の龍。始まりの意味を静かに語る。
- ともねこ:癒しの猫。朝の空気の変化に気づく存在。
- 橋龍:広報・調和役。言葉と想いを未来へつなぐ。
元旦の朝は、
音がほとんどない。
テレビも、車も、
まだ目を覚ましていない時間。
窓の向こうで、
空の色がゆっくりと変わっていく。
「……始まるな。」
カトーは、
湯気の立つ湯のみを手に、
東の空を見ていた。
ともねこが、
ひなたに丸くなる。
「朝って、なんだか背すじが伸びるニャ。」
ともりゅうが静かにうなずく。
「始まりとは、
大きな音ではなく、
小さな覚悟から生まれるものじゃ。」
◆ 元旦に相談は来ない
この日は、
電話は鳴らない。
現場も、
工事も、
打ち合わせもない。
でも――
カトーは、この時間が好きだった。
「動かない時間があるから、
動く意味が見えてくる。」
橋龍がメモを取りながら言う。
「一年の最初に“立ち止まる”って、
すごく大事ですよね。」
◆ 家も、呼吸をしている
前日に整えた事務所。
片づいた机。
余白のある棚。
空気が、軽い。
ともねこが歩き回る。
「モノが少ないと、
音も静かになるニャ。」
ともりゅう:「家も、人と同じ。
余白があって、初めて未来を迎えられる。」
カトーは、
一枚の図面を机に広げた。
「2026年は、
“直す”だけじゃない。」
「暮らしを、
一段上へ引き上げる年にする。」
◆ 第二創業期の合図
橋龍が、
新しいページを開く。
「発信も、
もっと“暮らしの温度”を出していきましょう。」
「施工の話じゃなくて、
“その後の生活”が伝わる言葉で。」
カトーはうなずいた。
「フジトモは、
工事の会社じゃない。」
「“安心が続く仕組み”をつくる会社だ。」
ともりゅう:「それが、
第二創業期の核じゃな。」
◆ 朝日が差し込む
そのとき――
窓から、光が差した。
静かで、
まっすぐで、
迷いのない光。
床に伸びる影が、
少しずつ形を変えていく。
ともねこが目を細める。
「今日は、いい始まりニャ。」
橋龍が小さく笑う。
「言葉も、ちゃんと届きそうですね。」
カトーは、
その光の中で言った。
「2026年は、
“ありがとうが集まる”だけじゃない。」
「“ありがとうが続く”会社になる。」
ともりゅう:「始まりは、
もうここにある。」
◆ 余韻
外では、
遠くで子どもの声が聞こえた。
新しい年が、
もう動き始めている。
家の中は静か。
でも――
確かに、力が満ちている。
朝日は、
今日も変わらず昇った。
それでも今年は、
少し違って見えた。
──ここから始まる。
フジトモの、2026。
──つづく。
🎯次回予告
第63話
「今年の一歩目は、どこから踏み出す?〜玄関が語る未来〜」
新しい年、
最初に触れる場所。
そこに、今年の流れが現れる。



