フジトモ島の冒険Adventures on Fujitomo Island

🌟第63話

「今日という日から、また暮らしは動き出す〜静かな再始動〜」

  • カトー:フジトモ号の船長。日常の中にある“次の一手”を見極める。
  • ともりゅう:知恵の龍。流れが切り替わる瞬間を言葉にする。
  • ともねこ:癒しの猫。空気の変化を一番に感じ取る。
  • 剛龍:福祉用具・住宅改修担当。現場に戻る実務の要。

 

1月吉日。

正月でもなく、

節目でもなく、

特別な行事もない日。

でも――

不思議と、空気が違っていた。

「今日から、だな。」

カトーは、

朝の事務所でそうつぶやいた。

ともねこが窓辺で伸びをする。

「お正月の空気、もう抜けたニャ。」

ともりゅうが静かにうなずく。

「物事が本当に動き出すのは、

祝いが終わった“その後”じゃ。」

◆ 連絡は、いつもの相談

午前中、一本の電話が入った。

「ちょっと相談いいですか?」

「大ごとじゃないんですけど……」

内容は、

・使いにくくなった台所

・少し高く感じる段差

・最近増えた“めんどうだな”という気持ち

剛龍がメモを取りながら言う。

「年明け、こういう相談増えますね。」

カトーは答えた。

「新年に立てた目標より、

“日常の違和感”のほうが正直なんだ。」

ともねこ:「“なんとなく不便”って、

暮らしからのサインニャ。」

◆ 大きな決断は、いつも小さい

現場で確認すると、

壊れているわけじゃない。

危険というほどでもない。

でも――

毎日、少しだけ使いにくい。

「前は気にならなかったんですけどね。」

そう話すご主人の声には、

年齢と時間の変化がにじんでいた。

ともりゅうが言う。

「人が変われば、

家も変わらねばならぬ。」

剛龍がうなずく。

「直す理由は、“壊れた”じゃなくていいんです。」

「“今に合わなくなった”。

それで十分です。」

◆ フジトモの仕事は、ここから始まる

提案はシンプルだった。

・少しだけ高さを調整

・動線を一歩短く

・手を伸ばしやすい位置に変更

工事は大きくない。

でも、暮らしは確実に変わる。

ともねこがぽつりと言う。

「こういうのが、一番うれしいニャ。」

カトーは静かにまとめた。

「今日から始まる連載は、

こういう“何でもない日の選択”を描いていこう。」

「2026年は、

大きく変える年じゃない。」

「自然に、合う形へ進む年だ。」

ともりゅう:「流れは、すでに切り替わっておる。」

◆ 余韻

夕方。

外は、もう冬の色だけど、

光は少しずつ長くなってきている。

事務所の中は静か。

でも――

止まってはいない。

ともねこが丸くなりながら言う。

「今日から、また物語が続くニャ。」

カトーはうなずいた。

「うん。ここからだ。」

特別じゃない一日。

でも確かに、

次の流れに足を乗せた日。

──2026年1月吉日。

フジトモの連載は、

また静かに動き出した。

──つづく。

🔜 次回予告

第64話

「“まだ使える”と“今ちょうどいい”の違い〜台所が教えてくれたこと〜」

暮らしの基準は、

過去じゃなく“今”。

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