「今日という日から、また暮らしは動き出す〜静かな再始動〜」
- カトー:フジトモ号の船長。日常の中にある“次の一手”を見極める。
- ともりゅう:知恵の龍。流れが切り替わる瞬間を言葉にする。
- ともねこ:癒しの猫。空気の変化を一番に感じ取る。
- 剛龍:福祉用具・住宅改修担当。現場に戻る実務の要。
1月吉日。
正月でもなく、
節目でもなく、
特別な行事もない日。
でも――
不思議と、空気が違っていた。
「今日から、だな。」
カトーは、
朝の事務所でそうつぶやいた。
ともねこが窓辺で伸びをする。
「お正月の空気、もう抜けたニャ。」
ともりゅうが静かにうなずく。
「物事が本当に動き出すのは、
祝いが終わった“その後”じゃ。」
◆ 連絡は、いつもの相談
午前中、一本の電話が入った。
「ちょっと相談いいですか?」
「大ごとじゃないんですけど……」
内容は、
・使いにくくなった台所
・少し高く感じる段差
・最近増えた“めんどうだな”という気持ち
剛龍がメモを取りながら言う。
「年明け、こういう相談増えますね。」
カトーは答えた。
「新年に立てた目標より、
“日常の違和感”のほうが正直なんだ。」
ともねこ:「“なんとなく不便”って、
暮らしからのサインニャ。」
◆ 大きな決断は、いつも小さい
現場で確認すると、
壊れているわけじゃない。
危険というほどでもない。
でも――
毎日、少しだけ使いにくい。
「前は気にならなかったんですけどね。」
そう話すご主人の声には、
年齢と時間の変化がにじんでいた。
ともりゅうが言う。
「人が変われば、
家も変わらねばならぬ。」
剛龍がうなずく。
「直す理由は、“壊れた”じゃなくていいんです。」
「“今に合わなくなった”。
それで十分です。」
◆ フジトモの仕事は、ここから始まる
提案はシンプルだった。
・少しだけ高さを調整
・動線を一歩短く
・手を伸ばしやすい位置に変更
工事は大きくない。
でも、暮らしは確実に変わる。
ともねこがぽつりと言う。
「こういうのが、一番うれしいニャ。」
カトーは静かにまとめた。
「今日から始まる連載は、
こういう“何でもない日の選択”を描いていこう。」
「2026年は、
大きく変える年じゃない。」
「自然に、合う形へ進む年だ。」
ともりゅう:「流れは、すでに切り替わっておる。」
◆ 余韻
夕方。
外は、もう冬の色だけど、
光は少しずつ長くなってきている。
事務所の中は静か。
でも――
止まってはいない。
ともねこが丸くなりながら言う。
「今日から、また物語が続くニャ。」
カトーはうなずいた。
「うん。ここからだ。」
特別じゃない一日。
でも確かに、
次の流れに足を乗せた日。
──2026年1月吉日。
フジトモの連載は、
また静かに動き出した。
──つづく。
🔜 次回予告
第64話
「“まだ使える”と“今ちょうどいい”の違い〜台所が教えてくれたこと〜」
暮らしの基準は、
過去じゃなく“今”。
